分科会

本会議において活動の中心となる分科会は7つ設けられており、日米各4名の参加者が議論を重ねます。事前活動では自主的に定期ミーティングを開き議論を重ねるほか、各自の興味に沿い、その分野の第一線で活躍されている方々のもとを訪ねます。本会議中もフィールドトリップで関連機関や専門家を訪問するなど、議論の質の向上を目指す努力が続けられます。以下が第73回日米学生会議における7つの分科会テーマです。

サイバー空間と人間の安全保障 ~AI-データ技術新時代における社会変革と脅威~ Digitalization and Human Security: Social Changes and Threat in the Information Age

現代はデータが戦略的インフラ化し、AIが囲碁の世界チャンピオンを破る時代である。5G、AIなど情報技術の指数関数的発達は、知的生産のあり方までをも変えつつある。一方で人間の安全保障とは、グローバルな脅威からの人々の保護を謳う概念である。産業革命、IT革命以来のパラダイムシフトに人類が直面する現在、技術と規範の交差領域で生じる問題は枚挙にいとまがない。例としてビッグデータの中央集権化、多様なサイバー攻撃、災害対応でのAI活用が挙げられる。情報技術の発展と人権保護は両立されるのか?急速な情報技術発展の基盤となる法整備をいかに進めていくのか?国際社会、政府、企業、市民社会、個人はこの社会変革にどう寄与するのか?AI-データ技術新時代における人類社会の変化と必要となる打ち手について、議論と提言を試みる。

教育とアイデンティティ 〜現代社会における個性の創造〜 Education and Identity: Explore the roots of individuality in the modern world

「教育」と聞いた時になにを思い浮かべるだろうか?「教育」は学校教育にとどまらず、家庭教育、社会人教育など、生涯に渡って続くものである。特に、思考が固まっていない若い学生のアイデンティティ形成に大きく影響を与える。例えば、歴史教育では同じ史実に対する認識が大きく異なることにより生ずる偏った認識をもとにアイデンティティが形成されることがある。また、人々は住んでいる環境によって形成されるアイデンティティも大いに異なる。当分科会ではあらゆる教育の定義・意義を考え直した上で、教育がアイデンティティとどのように関わっているのか、また、将来の教育はどのように変わっていくのかを探っていく。

自然災害における危機管理 ~緊急時のリーダーシップとコミュニケーションのあり方~ Natural Disasters and Crisis Management: Examining Leadership and Communication

人類史において自然災害は私たちの生活を一変させてきた。当分科会では、各国の自然災害に対する対応の検証を通じ、危機管理にあたって政府や団体、個人がどのようにリーダーシップを発揮し、コミュニケーションを取っていくべきか考える。また、それらの行動の違いがそもそも国によるどのような違いから生まれているのかも検討していく。緊急時のリーダーシップとコミュニケーションは健康、環境、経済にどのような影響を与えるのか、またそれら3要素のバランスはどうあるべきなのか?コロナ禍を経験し、東日本大震災から10年が経過した現在、過去の教訓を活かしどのように未来に備えるのか、様々な視点から模索していきたい。

哲学と個人の意思決定 〜文化、社会、宗教における信仰と道徳的価値〜 Social Philosophy and Individual Decision-Making: Beliefs and moral values in religion, culture and society

私達は何か信念を持って行動することがある。宗教活動,学生運動や差別に対する抗議活動など例を上げればきりがない。信念の対立ゆえに悲惨な争いが起こることもある。そもそもなぜ私達はその「何か」を信じるのだろうか?信念に基づいた我々個人の意思決定はどのように行われているのだろうか?我々の道徳的価値観に文化や周辺環境はどのように影響を与えているのだろうか?当分科会では宗教の影響力、合理性と信仰心、確実性と懐疑論、社会的慣習と変革、自由意志とは何か、など我々個人の意思決定に影響を及ぼしている事柄全てについて問い直すことでこれらの問の答えを見つけていく。近年のトピックとしてBLM運動などの社会活動の根底にある信念の構造、新型コロナウイルス感染拡大に対する人々の行動決定などについても考察していく。

科学技術と倫理 ~先端技術と次世代社会の共生~ Science and Ethics: Understanding Decisions, Research, and Development

ノーベル物理学賞を受賞し、マンハッタン計画にも携わっていたリチャード・ファインマン博士は、科学は「天国の門も地獄の門も開ける鍵である」と引用している。近年の科学技術の発展は目覚ましく、我々の生活様式や国際関係に不可逆的な変化を引き起こした。しかし、原爆のような破壊的な武器を生んだ科学はその使い方を教えてはくれない。それを決めるのは技術ではなく倫理だからである。高度な専門化、細分化を経て作り出されたブラックボックス的な技術に埋もれ、我々は技術革新の先に何を求めるのかを見失ってはいないだろうか。科学はなぜ生まれ、なぜ必要とされるのか。この強力な”道具”を使いこなすのにはどのような倫理観が求められるのか。当分科会では科学の原点に立ち返り、その発展、利用に携わる様々な視点からその役割を模索する

メディアと社会正義 〜多様性と包括性の実現〜 Social Justice and Media: Promoting Diversity and Inclusion

メディアは現代における多様性と包括性の実現に対して影響を及ぼしているだろうか?それとも人々の価値観がメディア上の言説を形成しているのだろうか?BLM運動を始め、人種や民族間の公正を求める運動が世界中で広がりを見せている。日本のメディアでも大きく取り上げられていたが結果的に、アクティビズムへの批判を助長するような報道の仕方もされていた。広告などを含め、メディアが発信するジェンダー表現は男女の役割の固定化等に関するネット上での「炎上」騒動との関連性も指摘されている。当分科会では様々なメディアで異なる解釈が飛び交う中でメディアはどのように多様な「個」を取り上げるべきかを議論する。また、社会正義(social justice)とメディアの関係性に着目しながら、今後目指すべき社会の形を模索する。

国際政治における日米の影響力 〜21世紀の変化する国際秩序~ US-Japan Presence in Global Politics: Changing World Order in the 21st Century

日本とアメリカはGDPから見ても世界有数の経済大国であり、冷戦下では西側諸国の一員として国際秩序の形成に貢献してきた。しかし近年、中国が急速な経済発展を遂げて存在感を高め、自由民主主義への認識が見直されるなど、国際情勢の変化と共に日米の政治的影響力は変化している。日米は台頭する新興国とどう関わっていくべきなのか?各国の思惑が渦巻く現代の国際社会でどのようにプレゼンスを発揮するべきなのか?当分科会では、東アジアやヨーロッパといった世界各地、また各種国際機関などにも焦点を当て、安全保障、経済援助、移民・難民問題など、幅広く日米が国際政治に与える影響を議論する。そして、今後日米が果たすべき役割について考察する。