7分科会紹介

分科会

本会議において活動の中心となる分科会は7つ設けられており、日米各4名の参加者が議論を重ねます。事前活動では自主的に定期ミーティングを開き議論を重ねるほか、各自の興味に沿い、その分野の第一線で活躍されている方々のもとを訪ねます。本会議中もフィールドトリップで関連機関や専門家を訪問するなど、議論の質の向上を目指す努力が続けられます。以下が第75回日米学生会議における7つの分科会テーマです。

文化と芸術分科会:文化により形成される認識とその影響 Culture and Arts RT: Perceptions, Cultural Expression, and Relationships

 本分科会では、主に「文化芸術」と「人・社会」の相互関係、日米関係において文化芸術が果たす役割について考える。近年「文化の違い」という言葉をよく耳にする。物事をその都合の良い言葉で片付けてしまったことはないだろうか。ここでは、その「文化の違い」とやらはいかにして生まれるのか、そもそも文化芸術はどのようにして生まれそこに住む人々、はたまた世界中の人々に根付いていくのか、文化芸術が果たしてきた社会における役割や及ぼしてきた影響とはどのようなものか、などについてリサーチやフィールドワークを通して議論していく。文化芸術という言葉を幅広くとらえ、日米間の相違点、類似点を整理しながら、ソフトパワーやポップカルチャーなどについても深堀りしていく。

 

環境と科学技術分科会:環境と科学技術、その関係性を模索する Environment and Technology RT: Dualities, Synergies, & Apophenia

 「環境と科学技術」と聞いて、あなたは何を思い浮かべるだろうか。この2つのwordを、二項対立として、あるいは融合されつつあるものとして、あるいは全く関係がないものとして、捉える人がいるかもしれない。様々な捉え方があるだろう。このような「環境と科学技術」に関して、様々な切り口や専門性を持つ人で多様な議題について横断的、学際的、そしてメタ的に議論するのがこの分科会だ。考えられる議題としては、エコツーリズム、気候正義、世代間倫理、環境政策、SDGs、疫学、バイオテック、EV、インフラ、交通、そして建築など幅広い。実際に議題を決めるのはあなただ。ようこそ、環境と科学技術分科会へ。

 

国際政治と日米関係分科会:グローバル社会における機会と課題 International Politics and the US-Japan Relationship RT: Opportunities and Challenges in the Global Community

 いま、世界の平和が揺らいでいる。ロシアのウクライナ侵攻は世界に大きな衝撃を与えた。インド太平洋地域では米中間の対立が激化し、台湾海峡や南シナ海で緊張が高まりつつある。また脅威は多様化し、サイバーセキュリティや経済安全保障、エネルギー安全保障の重要性が増している。こうした今日の国際情勢に日米が対応するためには、国家の行動が、歴史や規範、国内政治などの様々な要因に大きく影響されていることを理解する必要がある。そこで本分科会では、これらの異なる観点から今日の国際情勢について議論するとともに、日米の国益の一致点、相違点を探ることを目的とする。

 

法と道徳分科会:今ある価値を疑い、社会を捉えなおす Law and Morality RT: Legitimacy, Loopholes, and Humanity

 ウクライナ侵攻、国連、自衛隊、中絶、銃規制、同性婚、環境保護、多様性、労働環境、死刑制度…近年日本、アメリカ、そして世界で話題となっているあらゆるトピックは法律と関りを持ち、それと同時に、私達は自分自身の、あるいは所属団体の価値観や道徳心から、これらのトピックについて考える。私達の価値観が社会を形作っていくと同時に、法律によって無意識に価値観が出来上がっていることもある。日本、アメリカ、国際社会、それぞれのコミュニティでの法や価値観の相違点や共通点を語り合うことは刺激的なものになるだろう。このRTでは、メンバーの興味あるトピックについて、定められたルールや自分達の価値観を見つめなおす。法律を全く知らない人も知っている人も是非。議論の深まりへようこそ。

言葉と哲学分科会:愛・友情・信頼、あらゆる関係の基盤を批判的思考で捉える Linguistics and Philosophy: Love, Friendship, and Trust–thinking critically about the foundation of human relationships

 当分科会ではあらゆるものの存在を露わにする「関係」を言語学的、哲学的思考を用い、愛・友情・信頼という三つの要素から深く考える。日米関係から個々人の繋がりまで、多様な関係性はどのように維持されているか、愛や友情はほんとうに存在するのか、なぜ人は他を信頼するのか、人工知能と人間は関係を構築できるのか、科学への信頼はなぜ揺れ動くのか。日米の参加者が多様な価値観を背景に、曖昧で変化し続ける「関係」を人工知能や医学といった人文の枠を超えたトピックも織り交ぜながら日米社会を議論する。これにより、懐疑的眼差し・物事の本質を捉える力を磨き上げる。当分科会では思考することに重きを置くため、所謂文系理系に囚われない議論を求める参加者を歓迎する。

 

社会階層と多様性分科会:規範の批判と変容 Social Class and Diversity RT: Critical Understandings and Transformations of Normative Values

 自分とは何か。階級や国家への帰属意識はどのようにして生まれるのか。多様な社会で生きるとはどういうことか。これらの問いかけは環境や文化、歴史の中で私たちにどのような意味をもたらしているのだろう。現代は様々なイデオロギーに溢れており、自己や他者、生活環境に対する概念を無意識に形成している。本分科会では日米におけるエリート教育やパパ活文化から、医学や科学への集団間の認識の比較など、文理関係なく幅広いトピックを取り上げ、社会を階層と多様性という縦軸と横軸で考えていく。私たちが生きている社会はどのようなシステムで機能しているのか、それはどのように再生産されているのか、それが形成する力を議論していく。

 

持続可能なビジネス:21世紀の革新 Sustainable Business RT: Understanding Investment and Innovation for the 21st Century

 目まぐるしく変わる社会情勢に適応し、企業は自身も社会を形成する役割を担う。そのために環境を変え、戦略を変え、時には経営理念までも変える。グローバル化はビジネス界に光と影をもたらした。各国企業が連携し、多国籍企業も増える中で、1980・90年代には世界の時価総額ランキングトップを占めていた日本の企業は姿を消した。しかし企業の価値は本当に利益の最大化のみから測られるのだろうか。21世紀の現在、CSR・サステナビリティなど企業は利益追求以外の面にも目を向け、他の企業との差別化を図っている。当分科会では、実在する企業・産業を議論の対象とし、日米間の企業文化に踏み込んで議論するとともに企業の役割や利益追求と持続可能な社会の両立など、21世紀のビジネスの姿を模索する。