VOICE

参加者の声

JASCerは、しっかりとした軸と信念を持った聞き上手
-シリコンバレー出身。米、中、日のトライカルチャー。高校卒業後来日し、大学で文化人類学と教育社会学を学ぶ。大学時代、多数の学生会議や教育系プロジェクトに携わる。JASC69参加者、70実行委員。日本の教員免許を取得し、現在私立中高一貫校の教員を務める。男子校のエリート教育に焦点を当て、エンパシーとコンパッションに溢れた社会作りを目指している。2020年Global Shapers Fellowに選出、Yokohama HUBに所属。第11期外国籍県民なかがわ会議副委員長。国際教養大学卒。天然温泉によくいる目撃情報がある。-

李 呂威(り・ろい)第69回参加者 第70回実行委員

【日米学生会議との出会いと第69回日米学生会議】

李さんは、大学1年生の際に来日されたと伺っておりますが、日米学生会議はどのような経緯で参加されることになったのですか?

大学2年時に、留学先で第68回日米学生会議の米国側参加者と出会い、そこではじめて日米学生会議の存在を知りました。しかし、当初はたくさんある国際系のプログラムの中で日米学生会議の何が特別かまではわかりませんでした。後の2017年、私は休学をして東京でインターンをしていました。そして、ふとその年の夏休みがぽっかり空いてしまったことに気づき、何気なく日米学生会議に応募してみました。

 

実際に第69回日米学生会議に参加されて、どのような印象を受けましたか?

第69回会議は、まさに当時の実行委員長が理念として掲げていた「デリ(参加者)全員にとってのセーフプレイス、いつでも帰ってこられる場所」でした。参加者は、オープンマインドな聞き上手が多く、聞いた内容をじっくりと消化し、確認しながら自分の意見を言える人ばかりでした。人の話を鵜呑みにしない一方で、簡単に価値観は揺らがず、時には衝突もありました。

 

衝突と言うと険悪なイメージがあるのですが、具体的にはどのようなものですか?

日米学生会議で行われる議論は主に2種類あると思います。1つ目は客観的事実に対する議論であり、その対となるのが、個人的な価値観やアイデンティティに関する議論です。この2つ目の議論は価値観の真髄に迫るもので、参加者同士が特にアグレッシブになり、時には自分の根本を攻撃されているような気持ちになることもありました。

そうした環境の中で、通常では接触しないような相手も避けず「この人はなぜこう思うのか?なぜこの人が怖いのか?なぜこの人が嫌いなのか?」を問い続け、相手だけでなく自分自身とも向き合い続けることができました。

 

李さんだけでなく、多くのアラムナイ(過去の参加者)からも同様の経験を耳にしますが、日米学生会議ではどうして、このように異なる価値観を持つ人と向き合わせてくれるのだと思いますか?

日常生活では、類は友を呼ぶと言うように、似たような価値観を持つ人間といることが多いと思います。しかし、日米学生会議の特徴は異なる価値観を持つ人と「共同生活」をすることです。結果として、日米学生会議以外では、絶対友達にならないような人と時間を共にするだけでなく、この人間関係から逃げられません。会議の公式プログラムが終わった後は毎晩、理解できない相手と1on1で話し、向き合いました。この時間こそが日米学生会議と言っても過言ではないくらいに大切な時間でした。

 

【第70回実行委員として見えた景色】

日米学生会議は、「学生のために学生が運営する会議」です。夏の本会議で実行委員選挙が行われ、翌年の会議を企画運営する実行委員を参加者が決めます。李さんは、第70回実行委員に選抜され、米国にて開催された会議を企画、運営されましたが、実行委員としての経験はどのようなものでしたか?

当初は社会人になった際に役立つスキルが身につくと思い、実行委員に立候補しました。しかし、実行委員になってからは見える景色が大きく変わりました。まず、参加者と実行委員では求められている要素が異なります。参加者として必要な要素は、貪欲さや好奇心である一方で、実行委員には、体験や学び、コミュニティーを設計する力が必要です。

そして、何より参加者目線で考えるようになりました。この思いは8名いる実行委員の中で一致していました。ゼロから会議を作り出す中で、実行委員会としての決断もたくさんありましたが、いつも決定する中での軸は「参加者にとっての最善」でした。

 

第70回は、日米学生会議史上初めて、自主研修を2回開催した他、その2回目が海外だったと伺っておりますが、実現までの道のりを教えてください。

第70回会議では、佐渡島と北京の2度の自主研修を実施しました。自主研修は通常、参加者が決定する前から準備を行うのですが、この段階で早くも実行委員会で論争がありました。2度の研修を実施したいとの強い意見がある一方で、経済的な負担やスケジュールの問題で1度にすべきとの反対意見がありました。平行線になった議論の中でも、最終的には「参加者を第一に考える」という共通認識から、参加者に決めてもらうことにしました。結果として、ほどんどの参加者が両研修に参加し、大成功に終わることができました。

 

【日米学生会議とキャリア構築】

李さんは、現在教育現場でご活躍されておりますが、ご自身のキャリアを決定するにあたり、日米学生会議でのご経験からの影響はありましたか?

教育に携わりたいという思いは、日米学生会議に参加する前からあったので、大きな変化はありませんでした。しかし、第70回日米学生会議では、教育分科会を作るなど、自分の興味関心を日米学生会議に持ち込んで活動をしていました。また、日米学生会議をきっかけに、日本の教育機関や行政などとのつながりができ、フィールドトリップなどを通じて実態をより鮮明に知ることができました。日米学生会議は、あらゆる人と巡り会う機会を提供してくれる場所であり、参加者には最大限に活用いただきたいです。

 

【応募を考えている皆さまへ】

最後に、応募を考えている学生および選考の小論文を執筆中の皆さまにメッセージをいただきたいです。

少しでも関心があれば、迷いがあっても、ぜひ応募していただきたいです。単刀直入に言うと応募しないと結果はわからないと思います!また、日米学生会議は選考のプロセスにも非常にこだわっていて、選考に参加するだけでも学びが多く、絶対にためになると自信を持って言えます。

そして、日米学生会議は、大学・学部の垣根を超えた友人を作ることができると思います。個人的には、はじめて日本の医学部の友人ができたり、政治的な意見は絶対に合わないのに「ポケモン」の話だけで意気投合できる人など、あらゆる人と出会うことができました。総じて言うと、愛しいからできる兄弟喧嘩が頻発する場所だと思います。ぜひ、チャレンジしてみてください!

編集後記

野澤玲奈(第72回日米学生会議実行委員)
早稲田大学 文化構想学部 国際日本文化論プログラム
第72回日米学生会議ホームページ担当